似ているがアプローチが異なるのがポイント
日本では今や代表的なダイエット方法となった糖質制限ダイエットですが、ケトジェニックダイエットとの違いはどこにあるでしょうか?
どちらも「糖質を制限する」という部分同じですが、ダイエットのアプローチが異なるのが最大の違いです。
「ケトジェニックダイエットをしているはずが糖質制限ダイエットとなってしまっていた」、というよくある失敗例もありますので、改めてケトジェニックダイエットと糖質制限ダイエットの違いを確認しておきましょう!
ケトジェニックは身体をケトーシスにし減量しやすい状態にすることが目的
そもそもケトジェニックダイエットは、糖質を抑えることで、身体を動かすエネルギー源を糖質(グリコーゲン)から脂質(ケトン体)に切り替えるダイエット方法です。脂質が直接エネルギー源となることで、より効果的に体脂肪減少を狙っていくものです。
一方で糖質制限ダイエットは明確な定義はありませんが、糖質の摂取量を抑えることで摂取する総カロリーを減らすことと、糖質を控えることで体調を整えることといった2つのアプローチが代表的な特徴となっており、これが糖質制限ダイエットとケトジェニックダイエットの違いとなってきます。
つまり、ケトジェニックダイエットを行うつもりで糖質を制限していっても、身体が脂質をエネルギー源とする状態(ケトーシス状態)になっていなければケトジェニックダイエットにはならず、糖質制限ダイエットとなってしまいます。ケトジェニックダイエットではそこまで総摂取カロリーに気を使わなくてもいいこともあるので、自分の身体がケトーシス状態になっていると思って高脂質な食事を続けていると、減量は上手く進まずケトジェニックダイエットとして失敗となってしまうパターンが多いのです。
糖質制限はカロリー摂取量を抑え体調を整えるのが目的
一方で糖質制限ダイエットは糖質の摂取量を制限することで、結果的に総摂取カロリーが減ることを目的としている事が多いです。摂取カロリーを考えながら食事メニューを組んでいくことは最初は難しいので、日本人の食生活で摂取量の多い糖質だけを意識することで、難しく考えること無く総摂取カロリーを減らすことができるのです。「定食のライスの量を減らす」「パスタは糖質が多いので避ける」というシンプルなルールを守るだけでいいので、わかりやすいダイエット方法として浸透してきました。
これが糖質制限ダイエットのアプローチの一つの「難しく意識しなくても結果的に摂取カロリーが減り減量しやすくなる」ということです。
もう一つの「体調を整える」という部分では、「糖質の過剰な摂取が肥満や糖尿病のリスクをあげる」、ということと、「(グルテンフリーダイエットの効果である)グルテンアレルギーによる頭痛などの抑制や肌質改善などを狙っている」、という事が一般的に考えられているようです。
それぞれ詳しく考えてみましょう。
糖質の過剰摂取を避ける目的
成人の身体は基本的には糖質(グリコーゲン)をエネルギー源として活動しています(グルコジェニック)。現代では年々生活様式も変わってきて、デスクワークが増えてきたことや、徒歩での移動や力仕事をする量が減ってきており、昔と同じように糖質を摂っていては、日常的にエネルギーを使い切れない状態になっていることが、肥満が増えて来ている要因のひとつと言われています。そのため、肥満や糖尿病などを予防するうえでも、適切なカロリー管理が必要となります。適切なカロリー管理をするうえでは前述の通り、糖質に絞って食事を管理することで、カロリー管理の難しさを軽減することができます。
また近年では食生活そのものが豊かとなり、美味しさを追求した食事メニューが豊富となってきました。ジャンクフードやスイーツなど、どうしても美味しさを追求する中で糖質量が増えてしまうことがあって、こうした食事を日常的に摂ることで結果的に糖質過多な食生活となってしまっているケースもあります。
さらに注意したい血糖値スパイク
もう一点は食後の血糖値スパイクを避ける目的です。糖質が含まれる食事をすると、消化吸収の過程で糖質はブドウ糖となり血管に取り込まれます。その後インスリンの働きによって血液中の血糖値は下がっていくのですが、このインスリンの働きがよくなかったり、多量の糖質を摂取すると血液中の血糖値は食後に急上昇し、急低下する乱高下が発生してしまいます。これが血糖値スパイクと呼ばれる状態で、血糖値スパイクが起きることで血管にダメージを与え、動脈硬化などの要因になっていると言われており、近年これを予防していく事が大事だとされています。
上述の通り、インスリンの働きがキーとなってくるのですが、血糖値スパイクが起きやすい人には日頃から炭水化物(糖質)中心の食事をされている方が多いこともあって、糖質制限を行うことで血糖値スパイクが起きづらい状態する、ということも糖質制限ダイエットの目的のひとつとなっています。
食事の際はまず野菜から先に食べるといったベジファーストという考え方も血糖値スパイクを予防するためとされています。
どちらも有用だがどちらかを選択して始めるのが大事
このようにケトジェニックダイエットと糖質制限ダイエットは、糖質を制限する、という部分については同じですが、それぞれアプローチが異なります。
ケトジェニックを行うつもりが糖質制限になっていると、ケトン体を活用するといったメリットが受けられませんし、逆に糖質制限を行うつもりがケトジェニックになっていると、脂質が足りないことでエネルギー不足となり体調不良などを引き起こす可能性もあります。
どちらのダイエット方法も正しく実践すれば有用的ですが、どちらつかずのやり方にならないよう、しっかりと違いを認識し、どちらを選択しているかを理解して進めていくのがダイエット成功の大事な要素となっていきます。
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